焙烙をご存じでしょうか?
「ほうろく」もしくは「ほうらく」と読みます。
フライパンのような見た目ですが、実は陶器です。
今回はお茶を焙煎するのに使用しますが、お茶以外にも豆や、塩、ゴマ、焼き芋にと幅広く利用されていました。
焙烙の歴史
「お茶以外にも使用されていた」と書きましたが、特に焼き芋に関しては面白い歴史があります。
江戸の町に焼き芋屋が現れたのは寛政5年(1793)の冬で、本郷の木戸番が焙烙で蒸し焼きにした芋を売り「八里半」と書いた行灯を看板にした。
日本大百科事典
実はこれが最初の焼き芋と言われていています。
行灯(あんどん)に書かれた「八里半」というのは栗(九里)に近い味というところから来ています。
そして「栗より(九里四里)おいしい」ということで→「十三里」という行灯もあったそうです。
さらに、食べ物以外では「焙烙火矢、焙烙玉」と言って焙烙やそれに似た陶器の中に火薬を入れて導火線に火をつけて投げる手榴弾のようなものにも用いられました。
こちらは村上水軍が有名で、鋳造の技術がなかったので身近な陶器を用いたそうです。
ほうじ茶の炒り方
では、焙烙を使ってほうじ茶を作ってみましょう!
準備するもの
- 焙烙
- 木製のスプーンかヘラ
- 茶葉(余っているものでもOK)
- 軍手もしくは布巾(持ち手が熱くなる場合があります)
- カセットコンロ(IHは不可)
手順
①焙烙をコンロで温める(中火で30秒~1分)
②温まったら、火を弱め茶葉を入れる
③茶葉を淹れたら焙烙を振ったり、スプーンで混ぜたりしながら焦がさないように、じっくり火を入れていく。
④煙が出始めたら、そろそろの合図。少し火から離して好みの炒り具合まで炒る。
⑤出来上がったら、持ち手のところから茶葉を出す
コツ
慣れないうちは火を弱めるか、火元から少し離して徐々に火を入れていくとムラなく焙煎できます。
また、焙烙は「シャカシャカ」とリズミカルの動かす方が中の茶葉が綺麗に炒り上がります。
焙煎機で炒ったものと比較
同じ茶葉を焙烙で炒ったものと、当店の焙煎機で炒ったものを比べてみます。
左が焙煎機、右が焙烙です。
全く同じ茶葉を使用していますが、見た目が全然違いますね!
焙烙で炒った茶葉の方が膨らんでおり、炒り上がりも焙煎機のものと比べると少しムラがあります。
実際に飲んでみると焙烙の方が香りにパンチがあり、より香ばしさが際立って感じられます。
一方、焙煎機で炒った茶葉は「香ばしさ+甘い香り」が感じられ、より上品に仕上がっています。
ちょっとしたイベントにもオススメ
コロナ禍以前はイベントなどで焙烙を用いて「焙煎体験」をしていました。
小中学生を対象にしたイベントでは、最初は緑色のお茶が徐々に茶色いほうじ茶になっていく様に驚いている様子でした。
また、毎年やってくる子達も居て、その子たちは年々上手になってました。
そろそろ今年あたりからイベントも開催できるとおもいますので、その際は是非ご体験ください。
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