刻音とは?
”ときね”と読みます。
株式会社吉村さんが「急須を超えることを目指して」開発した茶器。
その特徴は「金属を一切使わない」「沈殿抽出式」の2点です。
金属不使用
刻音は、お茶の繊細で自然な風味を保つために、金属を一切使わないことにこだわりました。そのためには、焼き物(半磁器)で、緻密に計算されたデザインを焼き物で製品化する必要がありました。
https://tokineteadrip.jp/about
多くの茶漉しには金属(ステンレス)が使われますが、刻音は金属を使わずにお茶の風味をそのまま生かすことにこだわっています。
絞り出しや常滑焼のセラメッシュ・ささめなど、刻音と同様に金属を使っていない急須もあります。
沈殿抽出式
蒸らして膨らんだ茶葉自体をフィルターにすると言う事です。
急須であれば上澄みから抽出されて、最後に茶漉しで茶葉が濾されます。
刻音の場合は最初から茶葉がフィルターの役目をし、クリアで味わい深いお茶になるそうです。
使い方
①蓋を取り、本体とつまみの目印を合わせる。
②茶葉(5gが目安)を入れる
③茶葉が浸るぐらい湯を入れ開くのを待つ
④開いたのを確認したら湯を注ぐ。(内側の段差で200ml)
⑤抽出するときは、つまみをずらして隙間を作るように外側にそっと倒します。
⑥本体を蓋の上に置き注ぎ分けます。
※蓋の上に本体を置く時は下の画像の向きで置きましょう。
良かった点
見た目がおしゃれや抽出方法が斬新なところはありますが、使ってみて良かった所は以下の4点です。
洗いやすい
茶こしが存在しないので、急須のように目詰まりもなく水でサッと流すだけです。
茶こしに詰まった茶葉を取るのは、意外と時間が掛かりますよね。
刻音なら、つまみを持ち上げ流すだけで下のビーカー部分に茶葉が落ちていきます。
撮影場所の兼ね合いで湯冷まししか使えませんでしたが、これだけ綺麗になります。
水道が使えるシンクであれば、完全に綺麗になりますね。
収納しやすい
全てをまとめて保管できるうえに、急須のような出っ張りがなく無駄なスペースを占領しません。
また、食器棚に入れているだけでインテリアの一部としての佇まいも感じられます。
濃度をキープできる
自分の好みのタイミングで抽出したままにできるので、急須のように茶葉が浸かったままになりません。
いつでも美味しいお茶が楽しめます。
玉露との相性が良い
玉露は煎茶に比べると茶葉が開きやすく、たっぷりの茶葉と少量の湯で抽出するため、刻音との相性が良いと感じました。
残念な点
これがあれば急須は要らない?と言うことは感じませんでした。
その理由として気になった点も紹介します。
急須よりは手間が掛かる
基本的な手順としては、茶葉を蒸らし開くまで待ち、フィルター代わりになったところで湯を注ぎ待ちます。
しかし、急須であれば湯を注ぎ待つだけなので、慣れている人にとっては手間に感じるかもしれません。
急な来客など、気持ちが焦ってしまうような場面では急須の方が向いています。
浅蒸しの茶は気を遣う
蒸しの浅いお茶は茶葉が開きにくい傾向にありあます。
刻音は蒸らした茶葉をフィルターにするので、開ききる前に湯を注いでしまうとそのままビーカーにお茶が抽出されてしまいます。
少し湯を入れ、フィルターの役目が出来るか?を確認してから湯を注ぐ必要があります。
どうしても上手くいかない場合は、茶葉を増やすことで隙間が埋まりますので、一度お試しください。
下の画像は上手く開かなかった失敗例です。
価格
税込み販売価格が6,820円。
お茶用のドリッパーや急須と比較しても高価な部類に入ります。
当店で販売している常滑焼急須も売れ筋は「3,000円~5,000円付近」なので、比較的高価な急須の価格帯となりますね。
しかし、新しい発想や品質面から考えると妥当な価格と感じます。
どのような人におすすめ?
ここまで刻音の使い心地を紹介しましたが、どのような人に向いているのでしょうか?
急須を使ったことがない人
急須を使ってよく失敗するのが、同じ濃さに注ぎ分けることです。
ひとつは薄いけど、もう片方はすごく濃い…となってしまします。
そして考えすぎて、注ぐペースが遅くなり濃くなりすぎる…なんてことも。
刻音ならつまみを動かし一旦全部を抽出してから、注ぎ分けるので失敗の心配がありません。
不慣れな方が急須で淹れるよりも、再現性があります。
コーヒーをドリップする人
普段からコーヒーをドリップする人からすると、使い勝手が良く似ているので使いやすいと思います。
湯沸かしのケトルなど、すでにある道具も活用できる点もうれしいですね。
少人数でお茶会
2~3人でのお茶会にもオススメです。
お喋りしながらお茶が滴る様子を眺める時間も素敵ですね。
茶葉の処理がしやすいので、お替りや飲みくらべもし易くオススメです。
まとめ
急須のように日常に溶け込むのではなく、非日常を感じる茶器だと思いました。
お茶を淹れるプロセスをより細分化、可視化することで得られる「美味しいお茶を淹れた」と言う達成感。
手間と時間を認識させ特別感を演出してくれます。
急須とは違う方向性に感じましたので、急須をすでにお持ちの方にプレゼントしても喜ばれると思います。
従来の急須と刻音を使い分けて、より良い日本茶ライフを楽しみましょう!
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